復興まちづくり情報

第五節 津波直後の余震

津波後内陸部でも大地震が続いたが、山田でも御蔵山に地割れが生じるほどであった。

奥羽ノ大地震

明治二十九年八月三十一日盛岡市長清岡等日記

八月二十三日以来時々地震アリ山岳鳴動ノ気味アリテ人々奇怪ニ思ヒ居リシカ果セル哉三十一日午前九時頃地震甚ダシク午後四時四十分尚甚シク殊ニ五時五分ニ於ケル地震ハ一層劇烈ヲ極メ且其時間長カリシ時ニ予ハ南部利祥君ノ御出発ヲ見送ラントシテ停車場ニ向ケ歩行中仁王小路多田綱宏氏ノ門前ニ於テ此地震ニ逢ヘリ(中河原助役ト同行)唯見ル大地震動シテ地上ノ溜水ハ左右ニ揺キ樹木鳴リ家屋鳴リ身体倒レントシテ歩行シ難シ漸クニシテ停車場ニ至レバ西ニ方リテ山岳鳴動ノ響殊ニ甚シク必ラス某所ニハ大地震ノアリシナランヲ推察セリ暫クシテ北方ハ好摩ニ於テ鉄道線路ノ破壊アリ又南方ハ日詰ニ至ル間線路屈曲シテ汽車通行シ能ハサルヲ聞キ南部利祥君亦空シク帰邸セラル此夜地震時々起リ危険ナルヲ以テ市民ヲ警戒シテ家々「ランプ」ヲ廃シ代フルニ蠟燭ヲ用ヒシメタリ市民ハ途上ニ戸ヲ敷キ一夜ノ露宿シタルモノ亦尠ナカラス右地震ニ就キ各地被害ノ情況ハ新聞紙ノ報スル処詳細ナリ即チ左ノ如シ(以下八月二五日岩手公報)

怪しからぬ地震一昨日午後三時四十五分此俄然地軸ヲ揺かし来る震動は皆人の知る所なるか実に二十年来に之れ無地震にして外に畑働きのものさい地響に足打れしなりと仝日午後八時過きにも大砲の如き音地に響きて聞へ又昨日午前九時にも前仝様の大地震ありたり通常の震動と違ひ一種底気味悪き震動なれば復たも海嘯とか或は山崩れとかの変事なきやと人々危惧し居れり

大劇震盛岡及各地電報(抜粋)

一、山田町仮病院内日下部県属より午後七時今日数度地震あり午後五時五分強震あり院内患者動揺したるも無事に済む市民狼狽して病院等に逃避今尚雑沓中なり

二、宮古町午後八時三十五分発

今朝より強震二回微震六回宮古にて土蔵一崩れ其他損害破損あり人心恟々たり

三、釜石町より発電

当地八回の強震あり海嘯来るとて家具持出し篝火を焼き市中甚だ騒し今夜は野宿すべき模様なり

四、宮古測候所発電

本日午前三回午後四時四十二分十五秒及び五時九分五十五秒強震其後続震十二回あり

五、当盛岡市

早朝六時頃より奇怪の震響動揺甚しく其数幾回なるを知らず殊に午後三時過よりは屋も壊れん許りの大震市民は陰雨にも拘らす街路に戸板を敷きて露宿するもの多し市内にて尤も強きは仙北町又新田町も劇しく監獄の壁は所々欠陥せり今尚震動中

鉄道は此震響の為に三戸尻内間の隧道崩壊したり又盛岡と日詰間に「レール」曲がむ処あり盛岡と好摩間も多少の破壊あり汽車は上り下り共に止まる。

県庁は書記官始め重立役人夜詰各地への電報応酬に忙はし郡市役所学校高張提灯にて吏員詰居れり

警察本部にては夜間警部巡査召集して市内を巡視せり

久慈町にては大洪水あり浸水家屋百四十戸余あり

直行発の列車郵便物皆戻り来る鉄路不通

六、岩手県山田の地震同三十一日午後六時十分陸中山田局発

午後五時三十分激震あり仮局舎裏口の御倉山三ケ所地割れ危険なり依て局舎を便宜の場所に移し事務を扱う。

(岩手県誌資料災害5)

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