復興まちづくり情報

第一節 本土襲来の範囲

目次

  1. (一) 時
  2. (二) 震源
  3. (三) マグニチュード
  4. (四) 襲来の範囲
  5. (五) 三陸以外の津波の被害

(一) 時

明治二十九年六月十五日午後七時三十二分三十秒(西暦一八九六年)

(二) 震源

東径一四四度二分北緯三九度六分

(三) マグニチュード

M七・六規模四

(四) 襲来の範囲

(1)三陸~北海道

北海道沿岸から牡鹿半島まで津波に襲われ特に三陸沿岸で大災害となった。

死者 二七一二二  傷者 九三一六

家屋 全半壊流出  一〇六一七

船の被害  七〇三二

(2)三陸沿岸の各町村で人口に対する死亡者数は、綾里一、四五八(二、八〇三)、唐丹一、五八五(二、八〇七)、釜石四、〇四一(六、五五七)、船越一、三二七(二、二九五)、田老一、四〇〇(三、七四七)波の高さは、吉浜二四・四メートル、綾里二一・九メートル、姉吉一八・九メートル、田老一四・六メートル、釜石四・六~八・二メートル

この津波は太平洋を横断し、ハワイで高さ二・四メートル~九・一メートル被害あり、またサンフランシスコで二〇セン・〇チメートル記録された。

岩手県沿岸被害は最も甚だしく死者一万八、一五八人、傷者二、九四三人、家屋流失四、八〇一、家屋倒潰七二六、家屋浸水一、一七五人、船舶流失四、四五三、船舶破潰一、〇〇三、以上の外家畜、堤防、橋梁、山林、農作物、道路等に夥しき損害を蒙った。

(五) 三陸以外の津波の被害

凾館

去る十五日北海道函館の住吉、大森、若松海岸各町の海浜にては午後十時より海水次第々々に増加し十二時より翌十六日午前一時頃に至りては平常の波打際より四十間許りも陸上に溢れ来りければ人々驚破や海嘯寄せつらめ前々夜より数回の地震は正しく此の前兆なりしぞや(中略)四時の頃より水は徐に減し去り遂に平常に復したり

室蘭

海嘯の起りしは各地とも十五日の夜八時過にして其時は沖合より陸地にかけ甚しき夕立あり暫時にして晴れたる後激しき地震あると間もなく沖合に黒雲の如きもの起りしかば又もや夕立かと思ふ中に黒雲と思ひしは海嘯なりしことを認めたる由にて室蘭にては翌日午前四時頃天気晴朗なるにも拘らず突然高浪寄せ来り桟橋と突堤とを洗ひ去れり

茂寄

北海道庁の報告に十勝国茂寄地方は十五日午後八時海上沖合に遠雷の轟くが如き響を聞き同時に微震あり地響殆んど十五分間に亘る。同十一時退潮時に際し俄然退潮平時より数十尺の差あり忽にして潮勢奔激六十尺乃至百尺の陸地に襲来し凄音を発して去来すること四、五回初回は尤も激なりしといふ。

津浪の波及

去る十五日午後四時頃銚子港地方にては微なる地震一回ありしが已来同港及高神村海浜にては平日に比し水量三尺を加へ一時は沖合の波濤も高まりしといふ。陸地測量部にて備付ある金華山近傍の検潮器は凡七、八尺の変動を享けたりと云ふ

小笠原島小海嘯

小笠原島々司より其筋への報告に依れば客月十六日午前四時頃同島父島二見港は潮水異状を呈し同五時頃に至り非常に水量を増し平時に比べれば三、四尺増加するのみならず潮水の進退烈しく全く常潮と其趣を異にしたるを以て二見港に於ては夫々警戒を為し港内宮の港の如きは人民未だ起床前にして簗の大亀七頭とカノー船一隻を流失せり。釣浜界浦等も同時同上の増潮を見たるも人畜等に被害なし

又扇村洲崎東海岸初寝浦、北袋沢、小港、南袋沢海岸及西海岸等に於ても同時著しく水層の増加を認め又激浪の為め海岸に休息中の漁夫にして漁具を流失したるものあり、或は潮水渓間に充溢するに至りたるも是れ亦人畜に死傷なかりしと、弟島に於ても同時に三、四尺の潮層を増加し南北に面する方強く東西に向う方弱く数回激浪奔蕩を見たるも人畜に異状なし

母島沖村及北村港に於ては同時激浪襲来して沖村港の桟橋を破壊し僅かに板割二、三枚を残し余は悉く流失せり又北村港は地盤最も低く人家近傍まで潮水の浸入を見たるも人畜に異状なし

【岩手県陸中国南閉伊郡海嘯記事(岩手県西南閉伊郡役所編纂)】

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